かくれが

とあるスマオタの備忘録

1月21日15時、つまりは単純に君(たち)のこと好きなんだ

それなりに、自分の中の混乱は収束した気がする。わたしはとにかく、真実かどうかに関わらず、わたしにわかるこの騒動のストーリーを探していた。普段、芸能ゴシップはストレスになるだけなので、遠ざけるようにしているんだけど、これに限ってはわりと積極的にいろいろ見聞きした。わたしに沿うストーリーでなくていいので、誰かが描いた筋の通ったストーリーが知りたかった。おそらく、スポニチとニッカンが報じているのが、事務所側が描いたストーリーらしいということはわかる。わかるのだが、どう見たって、それで、誰が共感するのか。なんでこんなこと書いてるのかがわからない。スマスマの謝罪会見もどきだってそうだ。事務所側の台本だったということは、事務所側に沿ってるはずのスポ紙の記事からも読み取れる。事務所が、なんでSMAPにああ言わせたいのか、ちっともわからない。何度も言うが、誰も得してない。だいたい、SMAPの謝罪が押し付けられた台本だって明言しちゃうのってどうなの。悩みに悩みぬいてわたしの中で筋の通った結論は、結局、事務所はただ作文も謝罪会見作りも下手だということだ。なんだこのがっかり結論。様々なメディアを従わせ、大本営発表と揶揄されるほどの力があるのに、発表させてる内容があまりにお粗末だなんて、受け入れがたい。

わたしはこの騒動をきっかけに「金屏風事件」という、過去の騒動を知った。なんか言われてみればそんな話聞いたことがあるようなないような、という程度だ。このことの是非はちょっとおいといて、三十代のわたしがこれを知らないってことは、そんな騒動だってこうやって風化させることができるってことだと思う。もう少し最近の、わたし自身も覚えている騒動として、ジャニー社長の裁判も、この一件で掘り返されて、知らないというリアクションのひとをわりと見かけたので、なんだって風化させることができるのだ。わたしはこの隠蔽体質を嫌悪しつつ、たぶんどこかで信頼もしていたんだと思う。こんな騒動なんてなかったように、なあなあで終わらせる力があるんだから、そうしてくれるんだと。そして、そのつもりだったのかもしれないけど、その画を描くのが下手で、こんなことなっちゃったんだな、というのが、わたしが当面作った、この一件に対する、わたしのストーリーだ。

飯島女史がメリー副社長の逆鱗に触れたことが発端なんだろう。でも、結果(というにはまだまだ渦中だが)がこの誰しもが傷を負う形にしかならなかったのは、事務所には力があるけれど、その力を上手く使えるひとが誰もいないってことだ。たぶんね。大きな力で、この傷もなかったことになるのかもしれないし、いっそそのほうがいいと思うけど、それはまだわからない。繰り返すけど、これはわたしの目から見た、わたしが読み取ったストーリーなので、真実がどうのというつもりはない。同じ世界、同じ時を過ごしても、人の数だけ違う物語があるものだと思う。

この一連の騒動に、SMAPの謝罪相手として名前が出たのみで、ずっと通常営業の帝劇詰めだったというジャニー社長は、本当に現世のことに興味が無いんだろうなあ、と思う。その社長の作る夢の彼岸、たくさんの人間を魅了する彼岸を、現世につないでいたのが、メリー副社長。それが、ジャニーズ帝国。その仕組みからドロップアウトして、テレビの中、そして茶の間で生き永らえたのが、SMAP。昨年の文春記事で、メリー副社長が、ジャニーズのトップがSMAPだと思われたら困ると怒っていた気持ちは、わたしにもわかる。むしろ、大いに支持する。SMAPは、とっくの昔に事務所からこぼれ落ちてたし、わたしたちファンの手さえすり抜けていった。アイドルはファンが支えるものという常識からもはずれてしまったSMAP。この十数年、自分たちのものじゃなくなったSMAPに対して、どこかしら寂しさを覚えたファンは、多くいたと思う。でも、事務所はそれさえ知らなかったんだと思う。そのくらい、事務所はSMAPに興味がなかったんだろう。

でも、わたしも知らなかった。こんなに好かれてたんだね、SMAP。わたしはとにかく、わたしにわかるストーリーを求めていたので、ネットのいろんな人の意見もすごく見た。わたしが想定してたよりも、SMAPひどく言われてないという印象を持った。嬉しかった。一例をあげると、スマスマ直後から、「木村拓哉SMAP解散を阻止するためにタイムリープを繰り返している」という趣旨のネタ大喜利的なものが、主にコアなファンじゃない人の間で盛り上がってた。これって、各所の報道で「事務所についた裏切り者」と言われてなお、スマスマでの木村の力強い姿が、「SMAPを救うことを諦めない男」「絶望と戦う男」に見えていたってことだ。嬉しくないわけがない。

落ち着いてみても、混乱の渦中でも、結局わたしはSMAPが好きなだけだ。極端な言い方をすれば、もう解散したって構わない。でもそれは、こんなストーリーの先の話ではない。今日、また、再生産が行き届き始めたらしい「世界に一つだけの花」を店頭で見つけて買った。もう安心は買わなくていいのだけれど、つまりは単純に君(たち)のこと好きだというのが、伝わればいい。