かくれが

とあるスマオタの備忘録

「聖の青春」完成披露試写会

10月5日丸の内ピカデリー。せっかく試写会にご縁があったら、公開までには感想あげたいなあ、と思うのだけど、わりとギリギリになってしまった……。

舞台挨拶はこんな感じ http://music-book.jp/video/news/news/125688

安田さんは、その直前の DISGRACED のシャープな印象をわたしが持ったままだったせいか、なんかぼんやり見えた(笑)。なんか久しぶりにハイジさんみ感じたな。なにがそうさせるのかはわからないけど、痩せてはるってことかなあ。主演ふたりに話が集中するので、舞台挨拶始まってからずっと退屈そうに揺れてて、じっとしなさい! って感じだったんだけど、そろそろ話を振られるぞーってときに、先回りでずっとマイクごと後ろに回してた手、前に持ってきてたので、えらいね!!www 「負けました」の言い方に、いろんな意味が込められてるって話を、松ケンが安田さんにも振ってくれたんだけど、「チェーホフに出てくる『嫌い』には、嫌いの意味だけでなく、好きを嫌いと言うような……」みたいな話ししかけて、結局「チェーホフ出すと話わかんなくなりますね!」って、引き返すの早い。ライバルは?という質問には「チームナックス」と。これ、いつもなら、自分自身って答えそうなんだけど、松ケン東出が続けて「自分」って答えてたので、答えられないし、あと20周年に思うところあるのか、最近ほんとナックスの話しすること多い気がするなあ。 ちょうど、この映画撮ってる頃が、亀岡拓次のプロモーション時期で、各種舞台挨拶で、各司会のひとが、チームナックスって答えて欲しそうな話題、数々振ったけど、余すことなくかわしてらっしゃって、こじらせ男子! と思ってたんですが、こうして急にデレてみたりするとこ、ちょっと好きですw

映画はとてもいいです。わたし正直、泣かせにくる映画好きじゃないんですが、これぜんぜんそういう難病ものみたいなのに括れる映画じゃない。スポ根+少女漫画だった。フライヤーや公式サイトに「聖の最大のライバルであり、松山が本作の“ヒロイン”であると語る羽生善治を演じるのは、東出昌大。」って一文があって、だいぶ疑問符浮かんだんですが、すごいヒロインだった……。村山さんが将棋に、ひいては人生にかけた熱量みたいなのを、この作品における「青春」と定義すると、青春のきらめきのすべてが、羽生さんに集約されていて、なんというか、すごい。実在人物、というか現役の方をここまでの象徴的な描き方してるのにびっくりする。原作(映画観てから読みました)はもっと色んな人との関わりの中での村山聖という人を書いた本だったので、本当に思い切った作りだなあ。熱い、そしてときめきの詰まった映画だった。なにより、対局シーンの緊張感が印象に残ったなあ。力入りすぎて、肩凝ってしまったくらいに。

以下、ネタバレに配慮してない感想。原作の話を含みます。

原作、映画観てから読んだんですが、前述のとおり、アプローチがぜんぜん違うので、比較する感じじゃないなあ。原作はもう、村山さんというひとの生き様とか、死生観とか、ご家族や師匠の森さんの愛情、将棋というものの厳しさ、そういったものに圧倒されっぱなし。しかし、映画はそういうのはスパイスで、あくまで村山聖の、将棋=羽生への思いを綴ったみたいな物語で、ほんと聖の感情がキラキラして見えた。

この映画を観る人の大半は、この主人公が夭折の天才だということはわかって観ると思うんですけど、それに対してアタマっから、作者の急逝で未完の「イタズラなKiss」読んでるとこから始まるので、もう冒頭からガツン。あんまり時系列で話が進まないし、いろいろわかってる上で観る映画として作られてる印象。なので、映画の中だけだと、あんまり意味のわからないシーンとかわりとあるんですよね。師匠が体温計ってくれるのとか、原作(というかわたしはこれはテレビ番組で観た)を知らないと、よくわからないけど、わかってるとリリーさん演じる師匠のやわからかい声がなんとも言えない気持ちになる。わたしわりと、その映画の中だけで完結しない映画、嫌なんですけども、これはこれで正解なんじゃないかなあ。なにからなにまで説明しちゃうと主題(羽生)がボケちゃうわけだし。とにかくちょっと気になるつくりではあるので、みんな原作読んじゃおう。そして泣こう。大げさな言い方だけど、生きる気持ち変わる本だなあ。原作の話になってしまったが、映画は爽やかな印象で終わる、と思う。キラキラ。聖の目線で描かれてるからだろうけど、羽生の清らかでキラキラとした高潔さみたいなのが、ほんとすごいんだ。あこがれの人、ヒロイン。将棋の才能、なによりそれを上回る将棋にかける気持ち、幸せな家庭、聖が人生で備えるべきと考えるすべてを持ってるこの人を、やっぱりキラキラとした高潔な気持ちで恋い焦がれてる聖が、やっぱり清らかで高潔なひとなのだなあ。

安田さんは、思ったよりは出てた(笑)。原作でのいろんな周囲の人達とのエピソードを、江川(染谷)、橘(安田)、荒崎(柄本)に割り振ってる感じなのかな。対局シーンをものすごい楽しみにしてたんだけど、あのシーンもう聖に気が行ってるので、なんかさほどでもなく観てしまった。いちばんグッときたのは、お洋服買ってあげるシーン。観終わってからいろいろ考えて、あらためて思いましたが、優しい美人の先輩だったので、わりとわたしの夢見る安田顕ではないだろうか。あとから気づいたので、はよもっかい観たい。