かくれが

とあるスマオタの備忘録

映画「愛しのアイリーン」

http://irene-movie.jp/

あんまりネタバレとか気にせず感想を書いたが、読んでも何がわかるわけでもないな……。いつもそうなるなあ、わたしの感想。まあ、自分のためのメモなので。

映画を観る前の宣伝と、わたしがこの映画から受け取ったものの乖離がすごい。「衝撃作」だとか、「観終わったあとは殴られたような」(主演談)だとか、「安田さんのファンの女性はショックを受けるんじゃないかな」(監督談)とか、どれもぜんぜんピンとこない。というか、そのへんのフレーズ、わたしはぜんぜん魅力的じゃないんですけど、実際に観た映画そのものはとても魅力的だったので、なんかもう余計なこと言わんといてくれるか!? みたいな気持ちになった(笑)。観終わったあとのわたしは、殴られもせず、やわらかいお布団に投げ出されたくらいの気持ちでした。ラストめちゃめちゃ優しい。あの荒んだ過程の果てに、このオチって、優しい以外どう受け止めるのか、わたしにはわからない。誰も幸せになってないかもしれないが、誰もが優しく、そして愛することのできる人がいる、めっちゃ優しいはなしだった。

なんかとにかく、何見ても聞いても、監督が、こんな映画女には無理みたいなことをおっしゃるが、この映画は一面、女性が好むとされているロマンス映画である……と思う。(そして、こんな感想を持つ女はこの映画の客としていらぬと思われる気がするが、まあこれはわたしの被害妄想である。)これたぶん、原作では、くっそみたいなはなし(褒め言葉)を「愛しの」なんて言っちゃうロマンチックなハッタリタイトルで、読者に喧嘩を売る意図があるんだと思うんだけど、それが更に半周しちゃって、ロマンチックな映画になってるように思う。アイリーンは坊さんには心を開くがいっしょにいられないし、まったく心を寄せられないヤクザは、ついてったらもしかすると明るい未来があったかもしれなくて、選び取ろうとした岩男のことは失っちゃうんだけどな。安田顕伊勢谷友介福士誠治から王子様を選ぶはなしですよ(※選ばない)。逆に岩男の視点でも、買ってきた嫁の無邪気で可憐なアイリーン、酸いも甘いも噛み分けたい大人フィリピーナ(わたしはこのひとが好き……)、職場の薄幸そうなシンママ、真面目メガネ女子と、いろんな恋……いや恋じゃないんだけどなー、岩男となんかしらの関係性と感情がある。どれかいっこでもうまくいってればいいんだけど、うまくいかないのもまたロマンスだと思う。

描写が直接的でえぐいのはわかる。性的な表現で年齢指定がついてる映画観たの久しぶりなんですが、この映画のセックス映像とにかくなんにもエッチじゃねえ。なんというか、なにも羨ましくならない。ポルノでもないし、TLのような性表現がある少女漫画みたいでもないセックス映像って、見たことないかもしれない。ほんとのセックス盗撮したらこうなるのかもしれないが、わたしはそういったものは見たことがない(し、見たくない……)ので、よくわからない。そういう生々しいんだか、みすぼらしいんだかなセックス表現で、なおロマンスを描いてるように見えるので、とにかく反転反転の映画である……。暴力表現の方は、地上波では見かけないレベルだけど、映画としてはそこそこかな。わたしはわりと平気だった。

だらだら書いてしまったが、斜に構えたくせのある映画ぶってるけど、ふつうにめっちゃおもしろかったですよ! ということがすごく言いたい……。優しい人たちが懸命に生きて、誰かを愛していた。いっそ「真実の愛の物語」とかだっさいキャッチフレーズつけといてくれたら……いや、それも怒ってるだろうな、わたしは(笑)。木野花すげえええええ!とか、ほかにもいろいろあるんだけど、みんな思ってるだろうから語らなくていいや(笑)。

どうでもいいが、安田さんのファンの女性として、わたしが(安田さんの役の上で)ショックを受けることって、むしろ、今をときめく吉沢亮くんの恋のライバルとして、チョコレートをあーんしてくれることのほうの気がする。えっ、そんな役回りもらえるんです!? ありがとうございます!! という衝撃。いわおさんのほうがね、やりそうな役なんですよね。わたしあんまり安田さんを観るつもりで、この映画観てなかったな。それでこそ、なのかもしれません。