かくれが

とあるスマオタの備忘録

TEAM NACS 第16回公演「PARAMUSHIR〜信じ続けた士魂の旗を掲げて」東京後半

赤坂ACTシアター 3/29昼,30,31夜 + ライブビューイング4/1

終わったー! 楽しい舞台ではないんだけど、とにかく2ヶ月楽しかった!! わたし生きてる!! 生きる! ……と、この舞台に夢中で通って、泣いて泣いて、すっかり憑き物がおちたようになっていたわたしは、この最後のエントリを仕上げるのを忘れたまま、WOWOW放送も終わり、今週はもうDVD・BDがリリースされてしまう。雑な下書きのまま、半年近く放置してしまったのを、慌てて投稿するよ。

まずは、東京日程後半の思い出を。最終週に当日券に4回並んで、1回だけ入った。毎回ほぼ全員当選なんですけど、その日に他の用件あると、立ち見さすがに体力厳しいなあと、キャンセルしておりました。「立ち見ですがよろしいですか?」って確認してくださるの親切。お席当たってる人のほうが多い回もあるのに、なかなかにヒキが悪いw その分、もうあとがないので入った前楽は、キャン待ちからのお席ご用意で、ありがたかったんですけども。初日にはこだわるけど、千秋楽はそうでもないので、ライビュがあるとチケ取りが気楽でいい。今回、ファン以外の人を数人お誘いしたというか、ライビュならお安めだしぜんぜん取れるから、チケット取っとくので観て!と、観てもらえて嬉しい。こういう場合千秋楽だともう、気に入ってもらっても観てもらう機会がないので、わがままとは思いますが、中日あたりにも1回ご用意願えないだろうか。

人が生きて死ぬ。それだけの、それだけだからこその強い強い情景だったこの舞台。新幹線に飛び乗った初日大阪から、赤坂の桜に彩られた東京公演まで、忘れられない日々になった。29日のカテコで安田さんが「桜庭さんも毎年こうやって桜を見ていたのではないか」というようなことをおっしゃってたが、わたしもそんなようなことを考えながら、あの階段をのぼっていた。まったく余談だが、桜も咲き誇っているが、花粉の飛散量もすごかった赤坂。思い出の春の赤坂。2年ほど絶望を振り払えず、2016年1月より前にしか、戻りたい時間が存在しなかったんだけど、戻りたいと思えるポイントができた。この春の赤坂になら、何度でも通いたい。
とにかく泣くために桜咲き誇るACTに行くみたいになってたけど、公演も終盤になり、ようやく普通に芝居観てた気がする東京後半。やっとストーリーも飲み込めてきたし、各キャラクターごとの心情もある程度追えるようになったし、視覚的に観たいポイントを追う余裕もできた。わたしは森崎演出が自分の心を揺さぶるを体感するのがすごくすごく好きだが、揺られっぱなしだと理解力が下がるので、痛し痒しか。この芝居観てる2ヶ月の間に、初日には感じた、「ソ連」って単語の耳慣れなさを失ってしまった。回数重ねても、新鮮な気持ちで観るようにしてるけど、どうしてもこういう慣れが出てきてしまう。多ステで得るものと失われるもの。得たのは、終盤の戦闘見るの、むちゃくちゃ上手くなった。初日から毎回あんなに号泣してたが、最終的にはしくしく泣きながら、次々に観たい箇所をスイッチングしていけるようになったものの、なにこのもう一生役に立たないスキル。戦車の上の桜庭が撃たれて、見てた水島が名を呼んで、狼狽えたせいで撃たれるの、めっちゃ見てたが、映像(ライビュ・WOWOW)もわりと丁寧に水島を追ってくれてたんだよなあ。小宮に助け降ろされてる桜庭が水島見てるのが映らないのは、映像の限界……現場でめっちゃ見といてよかった。

で、あれちゃんと見てしまって挑む、水島と桜庭の最後のやり取りがとても良い。最初の頃は、水島が、負傷した田中引きずって戦車のとこに来て、田中を下ろしてから、ひとりずるずると小宮と桜庭の間に移動するの、ちょい違和感というか、手榴弾をやり取りする会話のために、あの順に並ぶのありきでの動きに見えて、段取り臭さを感じ取ってしまってたんだけど、桜庭が撃たれてんの見たから、桜庭のとこ行こうとしてるんだなあ。ずっと言ってるけど、相互理解に遠い水島と桜庭が、手榴弾のやり取りとともに、気持ちを受け渡ししてるのめっちゃ好き。そこまでの過程が、まったく相容れない上で、互いの人生に重なるところが多いのを、お互い察していきつつ、少しずつ感情が動いて、手榴弾に至る。

少し戻って、モダンタイムスの話ししてるとき、小宮と矢野は、田中が一生懸命笑おうとするのを見てるけど、水島は桜庭が自分の好きな映画の話を、楽しそうにするのを見て、笑ってんのよな。歌い出した時も、「どうした、桜庭」って言うけど、ぜんっぜん不審がってないし、意外そうにもしてないし、どうして歌い出したかわかってるの、ほんと、ここここここいつめ! こいつめ!! このくだりがあったの踏まえて、あそこでは田中のための Smile が、ラストでは水島と桜庭のための音楽になるの、ずっるいなあw そして最後には、なんで桜庭にカレー作ってやらないんです!!?? なに死んでるんですか!!?? って、水島さんに対してむちゃくちゃ理不尽な気持ちになる。後日、安田さんが、”本番中は五島軒のカレーを食べてみたい気持ちを作るためカレー断ちをしていた”というエピソードを知って*1、そんなに!? カレー食べたい気持ちそんなに大事だったのね! ねえ、水島聞いてる!!?? と、変な怒りをまたぶりかえしたりしていた。

水島はカレーを作れない代わりに、花畑にお迎えには来て、桜庭が泣くことを肯定してくれる。大泉さんって、この舞台に限らず、日によってわりと好きに芝居をする人で、あの世の水島が、桜庭にやさしく微笑んで頷いたあと、なにかをつぶやいたり、ふっと息をついてるみたいな日もあって、毎回毎回気になってしょうがなかった。息つくの、セクシーなんだよなー。お隣の小宮少尉もよくなんか言ってる。小宮少尉はWOWOWの日も言ってる。そっち見てると田中と矢野どうしてんのかあんまり見えないのだが、だいたい微笑んでるだけらしい。あんないいシーンなのに、つぶやいてるのが、なんかおもしろいことしてるだけの可能性が、ゼロではないとこが、チームナックスだよなあ。そういうとこは嫌いではない(笑)。

ぽろもしるから聞こえてきた歌に顔を上げる水島、ポロッポロ泣いてて、あれほんと好きで、WOWOWもそうなってて嬉しかった。かわいく泣く。ほんと、ポロポロ涙落ちるんだもん。どうやったら泣けるんだって、桜庭に詰め寄られてるときも、ポロポロ泣いてることある水島軍曹が最高。子供の写真見ながら泣く田中もかわいい。生きたい組の水島田中は、ポロポロ泣ける人たちなんだよなあ。ポロポロ泣ける水島は実は、すごい最初の方にもう、答えを手に入れてんのよね。欲しいのは未来だと。ただ、踏ん張れない。そこを、桜庭がぐりぐり踏みつけにくる。桜庭さんが水島軍曹にあんなに冷たいの、やっぱり八つ当たりでしかないんだけど、八つ当たりの根っこにあるのは共感だし、当たられた水島の方もそれは同じなんだよなー。

と、東京後半なぜかめっちゃ水島を見てたり、安田さんのお芝居がわたしの好きな感じに寄ってきてて、ちょっと桜庭さんのことも好きになった気がして、変に感想が偏ってるが、その他いろいろ。

  • 避難するときのシーンで、行きたくない!ってゴネるゆみちゃんを、みっちゃんが説得して、やる気になったゆみちゃんが勢いよく走り出し、逆にみっちゃんちょっと置いてかれるの、ちょう好き。
  • 最後の幌筵島の唄を歌いに出て、はける時は、みっちゃんがゆみちゃんの肩抱いてはけるの。切ない……好き……。
  • わりと最初から思ってるけど、手榴弾投げる前の会話、あれすごいいい感じに見えるが、結局のところ、戦争ってああいう高揚感で動いてんだなーと、ちょっと怖い気持ちにもなる。あれだけ生きることにしがみついた田中が、ひょいっと死ぬ覚悟してんだもん。置いてかないでくださいじゃねえよ……。
  • 子供のことを聞かれて答える「かわいいさ」、「この4人で出発だ!」「この5人で出発だ!」、2度出てくる「未来を守るんだ」、「最初は皿洗いからだ」「最初は見習いだ」みたいな、やたらに同じようなシーンを繰り返すの、なんか意味あるんだろうけど、わたしには掴みかねたまま終わってしまった。今後映像を観ていて、ストンと来ることあるんだろうか。
  • 初日からずっと気になってるけど、どう考えても素性がいちばんわかりやすい小宮の家族って、桜庭がたどり着けなかったとは思えないんだけど、どうだったんかなあ
  • 立ったり座ったりするたびにずれるんだろうけど、上着の裾直す田中ほんとかわいい。
  • 矢野が呪いを振り払えたこと、田中には伝わってないままなんだよなー。伝われば、田中は絶対すごい喜んでくれるんだけどなー。ちょっと遠くから見てる桜庭には伝わってるよ。
  • 桜庭が水島の娘の顔を覗き込むのって、面影探してるからだというのも、この終盤にやっと気づいた。太郎と違って確信得てないもんな。

*1:OFFICE CUE公式サイト スタッフノート 2018年9月14日・毎日上書き更新されてしまうコンテンツなんだけど、有料サイトのCUE FAN MOBILEに過去ログあり