俳優 亀岡拓次
亀岡拓次、37歳独身。職業は脇役メインの俳優。“最強の脇役”ぶりで仕事が途切れることはないが、プライベートは安い居酒屋をひとり飲み歩く地味な生活。そんな亀岡がロケ先で出会った居酒屋の女将・安曇に恋をして…。世界的巨匠からもオーディションの声がかかり、脇役人生に大きな転機が訪れるのか…？ 不器用だけど愛すべき亀岡を演じたのは人気演劇ユニットTEAM NACSの安田顕。硬軟を演じ分け、映画にドラマ、舞台とひっぱりだこの個性派俳優。
http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=33
東京国際映画祭10/25。ワールドプレミアですってー。1月公開の映画を、ぽんっと観られて、拍子抜けというか（笑）。公開時期、わたしちょっと立てこんでると思うので、ここで観られて助かったなあ。
好きな役者でこーゆー主演映画観られたら幸せだろうなあ……って、他人事のように思ってしまった（笑）。ええ、幸せですとも。
以下それなりに踏み込んだ感想。ネタバレ注意。ちなみに原作未読です。帯つくのを待っている。文庫版がもうすぐ出るので、それにつくかなー？
地味な役者が、一世一代の恋をする話なのかと思っていたら、もっと淡々とある時期の亀岡さんの日々を追ったお話だった。そーだよねー、宣伝打つには恋愛推すよねー（笑）。このひと、このくらいの恋と失恋、わりとしてそうだ。2年に1回くらいは。そんな亀岡さんの時間の一部。仕事して、飲んで潰れて、仕事する話。これ、一種のアイドルムービーなんじゃなかろうか。だってずっと安田さんが仕事して飲んで潰れて仕事するとこ映ってるよ？？？ ずっと安田さんだよ。
上映後の横浜監督のお話の中で、安田さんのことを「凜とした華がある方」って表現されてたのが、なんかとてもぐっときたんですが、反面、「力の抜けた」ともおっしゃってたんですけど、そうなんですよねー。そういうの同居してる不思議な役者さんなんだよなあ、安田さん。色んな面があるとか、振り幅が広いとか、そうも言えるんだけど、反するものがいっぺんに見える感じ。そーゆー安田さんが、ずっと映っていた。
そんな亀岡さんが、安田さんそのものじゃん！ とも思うんだけど、ぜったい安田さんじゃないとも思う、この不思議な感じが、見ててたまらない。だいたい「安田さん」って概念が、わたしの主観というか思い込みなので、それを基準に話すのも、なんかおかしいんですが。でも、わたしの目には、ぜんぜん安田さんじゃない部分と、すごく安田さんな部分が同居してて、観ててほんとうに楽しい。亀岡さんのお芝居って、安田さんのお芝居と感じ違うんだけど、つーても安田さんじゃん？ みたいな。わたしの表現力に難があって、うまく説明できてませんが、なんとか察してください。
劇中劇がどれも印象深いんですけども、タイトル忘れちゃったなー、スペインの巨匠の映画を、マネージャーさんに説明するときの、イメージシーン。あれとても好き。あの安田さん好き。あれ、亀岡さんよりも、安田さんっぽいお芝居。……頭の中ではそうでもないんだけど、言葉にすると、わたしなにゆってんのか、ほんとわかんないな！（笑） あのシーンもだけど、いくつかの、あの時と場所がシームレスに移り変わる演出好きだなー。ああいうのが適宜挟まるからか、淡々と進むんだけど、退屈な感じはない。劇中劇に話を戻すと、映画の中の映画、つまり映画を撮るシーンがいっぱいあるので、映画好きな人は楽しいんじゃないかなーと思う。新井くんの監督さんいいな、いそう（笑）。
キャラクターとしては、イケメン俳優の貝塚くんが、とても好きだな。オーディションの帰りに会うとこ、リピ案件。もっと単純にヒールなのかと思ったけど、一筋縄でいかなさげで、とてもいい。あと、マネージャーさん。出てこないけど。亀岡さんはきっと、過去にマネージャーさんにも、こっそり失恋してると思う（笑）。安曇さんのことは、好きになるよなあ、あれは。ほろ酔い麻生久美子かわいすぎか。なにより、亀岡さんのこと、みんな好きになると思うなあ……それはだいたい安田さんが好きになるってことなので、やっぱりアイドルムービーなのでは！？
なにせ、わたしは幸せだ。何回でも観るわ。最後になってしまいましたが、安田顕さん、主演映画おめでとうございます。わたしは幸せですありがとうございます！
