かくれが

とあるスマオタの備忘録

TEAM NACS 第16回公演「PARAMUSHIR〜信じ続けた士魂の旗を掲げて」愛知

2/16 マチネ・ソワレ 東海芸術劇場

別にそういうつもりで挑んでいるわけでもないのだが、今回の全国ツアー、わたしは当日券遠征芸人の様相である。新幹線から電話しました。新幹線でチケ電かけたのははじめてではないと思うが、今もう東海道新幹線ってぜんぜん電話つながり続けるんですねえ。すごい。そして、繋がったのに、電話に出てもらえないという、謎の体験をしたw 30コールくらいで、「おかけになった電話は、お出になりませんでした」って、うんそうだね、出なかったね! けっこうびっくりしたよ!! で、もっかい繋がったころには、もうキャンセル待ちしかなかったのだが、空きが出たら、折り返し電話してくれると。ただし、開演後のお呼び出しになるかもしれないと。2時間しかない芝居で、開演後の案内はけっこう厳しいかなあと思いつつも、ちゃんと5分前に電話かかってきたよね。なんでかわかんないけど、わたしは今回「入る!」という意気込みで、「入れる!」という自信を持って電話をかけている。東海は、当日券でバルコニー前方が出ると聞いていて、とても楽しみにしていたのですが、ちゃんとそのお席でした。上方の急角度から見るセット楽しかったなあ。

当日券遠征芸人の話が長くなってしまったが、ネタバレ感想に入る前に、前回の記事への検索ワードを踏まえますと、上演時間を検索してこられる方が多いようなので、再度書きます。上演時間は、本編2時間です。ただし、ご存知チームナックスは、ともするとカテコが長くなる傾向にあるので、それなりにお気をつけください。

リーダーがカテコで言及していることもあり、Twitterなどでも、ネタバレ批判を目にするようになってきましたが、リーダーが「タイトルの読み方も知らないままでいてほしい」っつーのは、人並みの無関心で、この芝居自体を素直に受け止めてもらいたいみたいなことだと思います。また、ネタバレを見たい人は見てもいいんじゃないかなーと思っており、見たくない人は見ずに済むようにと、この形で感想を書き記しております。めっちゃ熱心に感想を書きたくなる芝居だということだけでも、いろんな誰かに伝わってほしいと思ってなくもない。個人的には、ネタバレよりも、予備知識という装備品を身に着けず、今日現在の自分自身の生身の認識で、全裸でぶち当たる意味は、すごくあると思います。わたしは当たってきました。

では、以下、ネタバレしてる感想。前記事(初日感想)前提です。
マチネはバルコニー下手前方、ソワレは2階ど正面。3回目にして、初のど正面のお席は、オープニングの見せ方が最高に森崎博之で好きすぎるわ!!! 戦車見せるまでの、音と照明とのあの流れ!!!! 音と照明を使って情報の開示順をコントロールして、掴みを盛り上げてくるの、ほんと好きだなあ。それ以前に、始まって、オープニング映像の地図で泣く最速記録を作れるリピート鑑賞。人間、地図でも泣ける。いやこれも見せ方上手だよなあ、ほんと……。

とくに大きな変更もないし、初日から、もうわたしの受け取り方方向性にもあまり変化はなくて、どうしてそう受け取れるかの理解が深まってくる感じだなあ……ガンギレ気味に、うぉりゃ遠征してたあの日々とは違う……。わたしはうぉりゃを思い出すんですけど、もっと古いファンのともだちは、WAR見直そうって言ってたので、なんかどっちにしろ、森崎博之が作った、生きて死ぬ話なんだと思う。わたしもさすがにそろそろ見るころなんすかね、WAR。そのともだちに、スカパーの録画をダビングしてもろたの、もう9年前ですね……。話を戻して、この話、なんのひねりもないんよね。そのまんま話が進む。これ、すごいと思うんだよなあ。初日に、3時間やれる芝居だなって思ったんだけど、普通もうちょいねじれというか、寄り道みたいな山を作って、3時間に仕立てるんだと思うが、ほんと豪速直球ストレートに、玉音放送の瞬間から、8月18日まで、そして50年後まで駆け抜けてしまう。だからこそ、刺さる。殴られる。殴られるために、わたしは全裸で挑みたいと思ってるんだと思う。この芝居、わりとみんな泣くとは思うが、ふと気づくと、人によって泣いてるとこがわりと違うので、おもしろいもんだよな……わたし(たぶんたくさん泣くほう)がしれっとしてるときに、近隣の号泣の気配感じたりして。みんな、思い思いに殴られている。

殴られてふらふらしたあとは、恒例おもしろカーテンコール。うぉりゃ以来、ナックスのカテコなくていい派(マイノリティである)のわたしですけど、一緒に生きて死ぬことができなかった人たちを、これまでの二十数年、そしてこれからの数十年を一緒に生きようと思っている人たちが、力いっぱい演じましたよ! ってカーテンコールが、今回はやっぱり特別尊いんだよなあ。だから今度は、「余韻もへったくれもない」って、あちらさん(主に洋ちゃんかな)から言われると、なんか傷つく。わたしうっせえな!w ここでこっそり言うだけなので、許してほしい。カテコで感じるこのエモさって、卑怯でしかないんだけども、この劇団の一番の強みを、最大限に活かしてぶん投げてきてるので、そこがほんとほんとほんと好き森崎博之結婚して。前回の感想にも書いたけど、あざとい。しかし、内輪ウケや媚びとは違うのだ。本編中の、もし生まれ変わったら云々の会話は、さすがに内輪ウケを感じると思うが、ウケすぎる客席のファンの我々が悪いってことにしてください(笑)。これも繰り返し言ってるけど、みんなチームナックスに飢えている。レギュラーのハナタレの、オンタイムでの配信でもあれば、こういう状況って変わると思うんだけど、息苦しいなあ。それはそれとして。わたし(安田さんのファンです)(ということが、一連の感想からは伝わらない気がするので、名乗り直します)は、安田さんが、ナックスを続ける理由を、「最早誰もこれをやめることはできないから」みたいな言い方するとこが、愛情と、愛情をべったりしたものにしたくないという意志を感じて、すげえええええええ好きなんですけども、安田さんがこういう方だという思い入れを込みにして、ラストの桜庭の独白が響いてるんだと思う。このウイークポイント突かれてんの、まさに内輪ウケなんですけども、しょうがないじゃない、ファンなんだもの。悪童でよく言われた、これをナックスでやる意味があるのかって問いは、わたしは森崎作品だって同じじゃねーかと思うんだけど、この劇団でやる意味にここまでこだわられた今回は、もう白旗だよな〜と思っている。

軍隊は天国だとはしゃぐ田中、日本のこの50年も地獄だったと憤る桜庭。この世はずっと地獄なので、人はただ生きて死ぬ。じゃあ、桜庭が泣いたあの日から、さらに流れた二十数年の時はどうだったのか。ラストシーンがぜんぜん現在じゃないの、やっぱ意味あると思うんだよなあ。ナックス兄さんたちよりは年下だけど、ぜんっぜん昭和生まれのわたしは、ごく一般的な公立の義務教育程度の中で、日本も、東西ドイツや、朝鮮半島みたいに分断されたかもしれなかったんだぞ! って、わりと教えられたように思う。わたしの年齢では、日本史というより地理公民の話だったが、今もう日本史の話だよなあ、たぶん。太平洋戦争、そしてその後の東西冷戦。東西ドイツが記憶にある年齢かどうかで、結構受け止め方変わるのかもしれない。わたしはあるほう。女工たちのため、家族のため、 部下のため、仲間のため、死んでいったものたちのためと戦っているあの戦闘が、この先数十年の米ソの対立の上で、アジア圏の優位性を争っただけだということを知っている。実際に、家族も女工たちも、そして北海道も守られたけれど、けっこう虚しい。……と、知ったかぶりをしてみたが、自分の知識、認識に自信がなくて震えつつこれを書いている。この芝居どう考えても、北海道と北千島の歴史より、普通に終戦の日の日本の状況についてが、事前知識として有用、というかある程度必要なように思う。一般常識の範疇なんだろうけど、常識ねえよ! ごめんよ!! 若いとはいえないが、それにしたって親だって戦後生まれだよ! この芝居が終わって見られなくなる前に、いろいろ勉強するべきだと思うのだが、まだもうちょっと全裸でいさせて欲しい……。パンフや雑誌類もほぼ読んでない。人名の確認と、写真のパラ見ついでに目に入った文章くらい。どっかにあてがきじゃないって書いてあって、へええええええってなったな。っていうか、洋ちゃんやっぱ怪我してたんね!? わたし、初日に足引きずってるの気になってたよ! 負傷兵なんかな、と。見終わって、話に関係なかったので、もしやと思ってたが、ええええええん、怪我とかだめです……。

クソミーハーの誇りにかけて、どうでもいい話もいたします。わたしはジャケットの脱ぎ着をするというのが、なんかやたら好き(モテリ2017で、クイズコーナーが無くなって、ジャケットお着替えがなくなったのを憤慨してたくらい)なのだが、この芝居、水島には脱ぎ着それぞれ2回、桜庭は着るシーンが1回あって、とても楽しい。安田さん相変わらず、ジャケットささっと羽織れないんだよ。ソワレの左袖だいぶ手こずってたなー。好き。一方、大泉さんは、泣いてジャケット脱ぐ芝居しつつも、着るときに手間取らないように、丁寧にジャケットさばいてて、それはそれで、この人の芝居のこういうところとても好きですよ、って気持ちになる。桜庭は病院にいたから、中のシャツわりときれいなんだけど、水島はけっこうよごれてんのよね、白シャツ。しかし、洋ちゃんの全体的にシュッとしてる感じのおかげで、よれよれしたシャツ姿というより、パリッとした白シャツ着てるみたいな印象になるの、すごいよな……。水島軍曹の佇まいが好きで、軍刀にばかり目がいってたが、軍刀ホルダーの逆側、ホルスターで、拳銃持ってるんだな。乱戦になると撃ってることもある。拳銃ってどの階級から持てんのかな。なんとなく士官からだと思ってたけど、軍曹ってどうなんだ。すっごいどうでもいいが、小宮少尉(も、拳銃である)の皮ポシェットめっちゃかわいいな! ああいうの、どのくらいリアルなのか、知識がなくてわかりませんが、アニメ的なオサレ軍服でもなく、地味すぎてもおらず、地に足ついて見えるし、かといってキャラの区別がつかないみたいな塩梅、見やすくてとても助かる。水島軍曹がいちばんかっこいいなあ。悪童からの3年のあいだに、わたしの身に起こった、チームナックス関連の出来事のひとつとして、兄上(真田丸です)と出会ったっつーのがありまして。わたしやっぱあれからむちゃくちゃ大泉洋さんのこと好きですよね、好きの種類にちょっと変化があるというか。ちょっとやだな、変な贔屓目出ちゃってw いやまあ、言うて、安田さんのファンですよ。初日に目が離せなかった車椅子の桜庭、俯く芝居になってて、顔が見えない! 見えないが俯いてる顔もいい! 顔がいい!!! しかし、桜庭はなぜあんなに唸る喋り方になったのだ。あれ、喉しんどくないんかしら。それとも、あれしか出ないのかな。ちょっと聞き取りづらいので、初日のが好き……。展開上、最後の最後に泣くまで、涙こぼせないので、何にもなくたって泣いてる安田さんが、あれだけ涙こらえてるの、目は真っ赤だし、鼻水は大増量だし、頑張ってね……人間、泣くのをこらえると、鼻水が出るんですよ……。どんどんどうでもよくなるけど、終盤に、そのために集めたと思われるアンサンブルの、民衆の歌くらいのクライマックス感で合唱される、チングルマの歌を、あの直前にひとりで歌わされる安田さんへの応援の気持ちが、2回目以降止まらない。ここ数年、歌への苦手意識が払拭されつつあるようにお見受けいたしますが、かといってまだ早いのではー!!??って、初日のモダンタイムスの鼻歌を歌った瞬間から、ずっと思っています。いやしかし、けっこうびっくりするんよなあ。あっ歌うの君なの!? そっちの歌うま自慢たちじゃなく!!?? ってw このへん、あてがきじゃないっての、わかるなあ。

リピーターなりの気づきとしては、序盤の山下がイマジナリー山下だというのも、ようやく理解。だから、序盤の山下と会話する矢野に、わりとはっきり「あいつはおかしくなった」みたいなセリフ、同僚からも、水島からも出てきてるのかあ。これ、初見は普通にさらっと、ただのおこりんぼさんなんだな、くらいにしか思わなかった気がする。前半、なにげにずっと山下のターンなんだよなあ。戦車から出てくる山下が、むちゃくちゃ丁寧に戦車に戻って行くのからどうしても目が離せないが、よく見てると、矢野の話をきちんと最後まで聞いて、一言一句に、肯定否定その他の感情返してるの、丁寧でいいな。山下のリアクションは、矢野が、矢野自身をどう受け止めてるかを映す鏡だと思うので、じっと見てると、矢野の苦しみがわかって、すごい苦しい。

矢野といえば、初めての戦闘で混乱してるのを、水島になだめられるの、やたらかわいい。坊主が余計にかわいい。あのひと、意外とかわいい。それはそれとして、チームナックスのよくないとこなんですけど、あのシーンなんとなくおもしろいことはじまりそうな気配を察知してしまい、必死で振り払っているw 水島は、矢野のことも、田中のことも、なだめるんだよなあ。一方、桜庭は、ふたりを叱咤し、奮い立たせる。立ち上がった2人を、ちゃんと歩かせるのは小宮。

年長組の水島と桜庭の対比、年少組の田中と矢野の対比。そのたすきがけになる、生きたい組の水島田中ライン、死にたい組の桜庭矢野ラインでの交流。生まれ変わっても相容れない年長組と、やわらかくわかり合う年少組としての対比。また、占守島の戦いを象徴するかのように、名を残さぬ、しかしあの地と、この人たちの中にしっかりと名前が刻み込まれることになる小宮と、それぞれの関わり方。わたしものすごくこの手のキャラクターの配置による描写の妙に弱い……。田中と矢野は、本来相入れないからこそ、矢野は生きるべきすべてを持った田中を生かしたいし、その中で山下という過去に追いつめられた矢野の心は田中に救われる。一方、水島と桜庭はいっこうに交錯しないままに描かれる。ガ島での体験から、人らしさを取り戻せない桜庭に対して、水島は笑い、泣き、家族を恋しがる、人らしさのかたまりみたいなひとで、矢野や田中のように激情を放つ他者と触れ合うたびに、感情が揺れ、心が惑い、決断を迷うんだけど、桜庭と接することによりニュートラルに戻る。でも、桜庭は、50年後には、水島の言葉に救われて、ちゃんと人らしく生を全うする。……ここらへんの帰結が、もうもうもうもうどストライクで好き、このお芝居。ラスト近く、水島が出した袋から、誰から誰の手に、手榴弾が渡っていくのかに、むちゃくちゃこの辺の意味乗ってて、ほんと好き演出家森崎博之結婚して。少し戻って、勝手に年長と年少をふりわけたが、読まずに積んでるどっかに年齢載ってんのかな。次までには読みます。矢野は満州経験あるから、未成年ってことはないんだけど、田中って下手したら18〜19歳なの、なかなかたまらんものあるなあ。小宮水島桜庭は、同世代かと思うけども、小宮少尉って、少尉なくらいだし、水島や桜庭より年下の可能性あるのも、ちょっとたまりませんね!

あとなんかまとまらんかったけど、書いておきたいことを、自分メモから抜粋。

  • チハちゃんが、両面で、壊れてる壊れてないになってるのに、やっと気付いた。好きだなあ。
  • わたしが昭和生まれの田舎の子だからやってたんだと思うんだけど、手袋(作中のは軍手だが)でボール作るの、ここで見ないと一生思い出さなかった、子供のころの感触思い出して、めっちゃきゅんとする……僕の心のやらかい場所がやばい……。
  • 桜庭さんはなんでラジオ背負ってるんですか。それとも携帯音楽プレイヤー的なものなのかしら、あれ。
  • 序盤に聞くのは確実にラジオなので、ラジオですけど、一日中モダンタイムスの曲流れてんの……?
  • で、あの島で聞ける、敵性音楽が流れるラジオって、もしかしてソ連のラジオなのかしら。
  • 敵性放送、ラジオプロパガンダといえば、わたしのうっすい知識では、ザカライアス放送とかなんですが、一般的にはどのくらい聞けたもんなんだろう、海の向こうからの電波。北の果てはまた事情違いそうだしなあ。
  • ソ連からだとすると、ソ連からの電波で聞く音楽を拠り所としてんの、なかなかえぐみある。
  • ぽろもしる、なのかな、発音。聞き取れてねえ。耳が悪い。